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内視鏡

ADR(Adenoma Detection Rate = 大腸腺腫発見率)

質の高い内視鏡検査を提供する。
これは内視鏡に対する私の理念です。
そこで、
近年注目されているADRについて。。。
内視鏡にこだわるクリニックを目指すにあたり、開院に先立ち、まずは現在の私のADRを算出してみました。
対象は2021年4月から10月までの大腸内視鏡検査の全例を振り返りました。
 4月;ADR 77.4%(男:女=22:9、平均年齢59.4歳)
 5月;ADR 65.2%(男:女=18:5、平均年齢56.9歳)
 6月;ADR 78.6%(男:女=15:13、平均年齢62.1歳)
 7月;ADR 73.1%(男:女=21:5、平均年齢60.7歳)
 8月;ADR 75.0%(男:女=14:6、平均年齢57.2歳)
 9月;ADR 77.1%(男:女=24:11、平均年齢54.8歳)
 10月;ADR 66.7%(男:女=26:10、平均年齢63.2歳)
結果は自信を持って公表できるスコアだったことに、ひとまず安心しました。
※アメリカ消化器内視鏡学会では、ADR20ー30%以上が内視鏡医に求められる技量とされております。

ADRは、
検査によって病気をどれだけ発見することができたか?という単純明快な指標で、内視鏡の精度管理として有用と考えられます。ADRが高いほど、病気の見逃しが少ない検査をしている = 質の高い内視鏡を提供している、ということになります。
しかし、ADRの取り扱いについて、現時点ではまだまだ問題点もあります。
欧米では、ADRスコアの水増しが問題になっております。
日本でも、内視鏡を得意とするクリニックはホームページでADRを公表することが増えてきました。現時点では、ADR算出方法に関して厳格に統一された管理体制は整っておらず、各個人または各施設が独自に算出しております。しかし、個人毎または施設毎に種類も程度も多種多様なバイアスが存在し、個人や施設を単純に数値の大小で比較評価できる状況にありません。
例えば、毎年のように大腸内視鏡を受けている患者様を対象から除外したり、しなかったり(除外した方がADRは高くなるでしょう)。何か他の病気が理由で大腸内視鏡を受けた患者様を対象から除外したり(これもADRは高くなる場合が多そうです)。といった状況です。
この辺りの算出方法が、世界標準または日本標準として、厳格に統一されれば(そして、各個人&各施設がその統一された算出方法を厳密に守れば)、内視鏡精度管理の指標、として大きな意味を持ちそうです。
信用できる格付け、といったところでしょうか。

※女性患者様が多いクリニックはADLが低めになる、ご高齢の患者様が多いクリニックはADLが高めになる、等、他にも様々なバイアスは存在しますが・・・
※”内視鏡の質”は、病気の発見の他にも色々な要素があります

ここからは私の個人的な見解ですが、
前述した問題点があるとしても、
現時点での内視鏡診療におけるADRの意義は大きいと考えます。
なぜならば、ADR数値の大小よりも、
『その内視鏡医がADRを意識した医師かどうか!?』
を知れるのが重要。と考えております。
ADRを意識した内視鏡医の多くは、自分自身の内視鏡技術にこだわりを持っているでしょう。そして、少しでも腕を上げよう!明日はさらに良い検査を患者様に提供しよう!と、日々の内視鏡に一生懸命に取り組んでいる方が多いでしょう。
その姿勢は、内視鏡医としてとても重要、と感じております。
質の高い内視鏡を提供するためには、
内視鏡医の日々の意識・向上心・勤勉さ、はとても重要です。

自分自身のADRを算出し、自分自身の内視鏡の質を客観的に見直し、さらなる改善を目指している。
その姿勢が大切だと思います。
現時点でのADR公表の意味は、そこが大きい、と個人的には感じております。

もちろん、内視鏡センスも大切、とは思います。

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